再生医療は細胞から薬の時代へ

再生医療の早期実現へ

 

再生医療が声高に語られ始めて既にかなりの時間が経過していますが、本当の意味で医療に大きく貢献する状況になるには、細胞移植を中心としたこれまでのアプローチだけではまだまだ時間がかかると考えています。これを変革するため、今までの様に細胞移植だけに頼るのではなく、飲み薬で体内に存在する幹細胞を増やす再生医療技術を開発しました。

再生医療の課題



細胞リソースの問題=入手が困難

細胞を培養しなくてなならない=時間もお金もかかる

細胞移植をしなくてはいけない=体に負担がかかる



 (1)脳内に投与することを必要としない「神経幹細胞」を増殖させる低分子化合物の発見 

今まで神経幹細胞を増加させる薬物として知られるのは抗うつ剤ですが、最大20%程度の増加に止まります。それに引き換え私達の発見した薬はin vivoで神経幹細胞600%増加させることが出来ます(Panminerva Med. 2006 Jun;48(2):87-96)。 その効果はドーパミン神経を特異的に脱落させたパーキンソン病モデル動物に末梢投与すると、内因性の神経幹細胞を増加させ、線条体にドーパミン神経様細胞を生成し、ロータロッド試験での運動機能の改善を行う事で証明されています。  この薬物の幹細胞賦活効果は間葉系幹細胞と比較して神経幹細胞で70倍高く、HPLCで抹消投与した薬物が脳細胞に移行したかを計った結果 血液脳関門を容易に通過し脳に達することが判明した為、経口投与で治療が可能と分かります。安全性は高く、治療濃度の1000倍を投与しても全く急性毒性は見られず、治療濃度の100倍を28日間投与しても肝毒性、腎毒性が見られません。また、腫瘍細胞の成長を促進しないし、エイムス試験で変異原性が見られないので、発ガン性は無いと言えます。

(2)神経幹細胞からグリア細胞への分化を抑制し「成熟神経細胞」に分化させる技術 私達の研究でAPPが濃度依存的に神経幹細胞からグリア細胞への分化を促進することが分かりました。NIHとカロリンスカ研究所との共同研究でヒトAPPを過剰に発現するトランスジェニックモデルをAPPの発現量を抑える薬物で処置することにより成熟神経細胞を増やせることが分かりました。 この薬物は第2相臨床試験を終了しており、人でのAPP抑制効果もカロリンスカ研究所で行ったアミロイドのPETスキャンで確認済みです。

(3)新たに(1)と(2)を併用することによって、細胞移植無しに生体内で神経幹細胞を増やし、それを「成熟神経細胞」を増加させる事で、病態モデル動物において改善作用を示すことを初めて明らかにしました。 APPトランスジェニックアルツハイマー病モデル(5xFAD)への末梢投与で内因性神経幹細胞が増加させるだけでなく、成熟神経細胞の再生が見られ、放射状水迷路での学習記憶行動の改善が見られました。この特許は本年度3月にアメリカで承認され、現在私達はこの治療法(APC-100)の臨床試験に向けて資金調達などの努力をしています。アルツハイマー病だけでなく、他の病気でも神経が損傷を受けるとAPPが生産されることから、脳梗塞などを含む神経でも有効と考えます。

【KS-217】特許概要 


論文

K Sugaya M Vaidya. (2019) Stem cell therapies for neurodegenerative diseases in: Exosomes, Stem Cells and MicroRNA: Aging, Cancer and Age Related Disorders. ED: Karl L. Mettinger, Pranela Rameshwar, Vinod Kumar Springer, Apr 7, 2018 Volume 1056 of Advances in Experimental Medicine and Biology (ISBN:3319744704, 9783319744704) pp. 61-86
https://books.google.com/books?id=E5ZaDwAAQBAJ&pg=PA80&lpg=PA80&dq=sugaya+pyrimidine&source=bl&ots=Tote1gnHQf&sig=ACfU3U2EgVBNmdktxw7BDA6t5OYlGwdLyw&hl=en&sa=X&ved=2ahUKEwjQu_uG3eroAhXhc98KHTMxAewQ6AEwBnoECAsQKA#v=onepage&q=sugaya&f=false


 The Future of Neuroregenerative Therapy for Parkinson's Disease,
Brandon J. Hendrix and Kiminobu Sugaya*, Current Tissue Engineering, 2014, 3(1), 25 - 33
https://www.eurekaselect.com/123568/article


 Stem cell approaches for treatment of neurodegenerative diseases
Anand, S and Sugaya, K. (2014) Clinical Pharmacology and Biopharmaceutics 3(2), 126-134
https://www.omicsonline.org/open-access/stem-cell-approaches-for-treatment-of-neurodegenerative-diseases-2167-065X.1000126.php?aid=32555


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